■いまどきの元気商売の原点は名古屋商法?
愛知万博で賑わう名古屋。当初は出足の悪さも指摘されたものの、ここに来て来場者数も堅調に伸び、目標の1500万人突破もクリアしそうです。この愛知万博に先駆けて中部国際空港も開港、この二大プロジェクトによる経済効果は2兆2000億円(愛知県)とされ、いまだ浮上できずにいる地域からはため息が聞こえそうです。
もともと名古屋経済は元気がよく、例えばその指標のひとつである有効求人倍率は、バブル崩壊後も唯一1倍以上を堅持、今年1月では全国平均0.91倍に対し1.63倍とダントツです。こうした名古屋の突出した経済力の強さを解明し学ぼうと、雑誌やテレビなどでは盛んに名古屋特集が組まれているようです。
いったい名古屋の元気よさの原因はどこにあるのでしょうか? もちろん躍進を続ける日本一の製造業トヨタのお膝元ということがありますが、やはりその商売気質に秘訣がありそうです。
まず名古屋人は流行に踊らされません。これは流行が東京、大阪をめぐったあとにやってくるので、「本当に売れるか」ということに疑問を抱くからと言われています。新しいものより、堅実なものを重視するという気質は、こうした地理的条件から生まれた必然ともいえます。流行に踊らされないということは、人の真似や二番煎じを好まないということ。限定された地域、業界の中でのナンバーワン、オンリーワンを目指す企業が多いのもこうした背景があるからと言われます。
限定された世界で一番になるには、地縁、血縁の協力が欠かせません。これには名古屋人の義理固さと生真面目が貢献しています。顔の見えない不特定多数を相手にするのではなく、顔の見える特定のお客様を取り込む。これは今の時代におけるワン・ツー・ワンマーケティングの思想。また決して大きく儲けず、長く続けることで信用を得る姿勢は、カスタマーサティスファクション(CS)、あるいは企業の持続可能性(サステナビリティ)、企業の社会的責任(CSR)といった姿勢に通じます。また高い貯蓄性向は、ここ数年いわれるキャッシュフロー経営の原点とも言えます。
無駄な投資をせず、必要な時にど~んとかける。つまり名古屋商法とは、時代を先取りする商法だったわけですね?!
参考:頭で儲ける時代、愛知県HP、サンケイビジネスアイ、オールアバウトジャパン、週刊ダイヤモンド、週刊東洋経済ほか。